社内勉強会をやってその先にあったもの

ブログはじめました。インプット期間が長過ぎたため、そろそろアウトプットしていかないとという焦りもあり、ブログ始めます。久々のブログなので、記事ひとつに対するパワーの入れ方がわかっていないので、長い文章になってしまいました。すみません。

最初のブログですが、社内勉強会について書いてみます。キッカケは先日、DevLove主催の社内勉強会x勉強会に参加してみて色々な方々とお話をして、自分の経験も共有することで、これから社内で勉強会を始めようとしている誰かの役に少しでもたてるかなぁと思ったためです。内容は勉強会の進め方とかテクニック的な話ではなく、自分を何が後押ししてくれたかのようなマインド要素が強くなっております。また、メリハリをつけた文章にするため、ややコントラストを強めに思い出を美化しております。
私は8月に転職をしていて、現在も転職後の社内で勉強会をしていますが、今回、ここで書きたい内容は前職のSIer時代の勉強会(コミュニティ運営)についてです。

社内勉強会の分類

社内勉強会はコンテキストによって目的等が変わりますが、モチベーションという観点で見ると大きくわけて以下の2つに分類にわけられると思います。

モチベーションの高い勉強会

自発的なスキル向上を目指した勉強会。意識の高いメンバがスキル向上を目的として自己組織的に実施される勉強会。業務調整がーとか、稼動つかないしーとか、そういう細かいことをウダウダいう人はいなく、休日でも集まるようなモチベーションの高い勉強会。

モチベーションの低い勉強会

何かしらの強制力が伴った勉強会。上司から業務上必要ということで、強制的に実施される業務知識勉強会や、担当の施策として勉強会を行う等の何かしらの強制力が発生して実施される勉強会。少数はモチベーションの高いメンバもいるが、強制的に参加させられている人は、どうしてもお客様状態になってしまい、眠いだけの時間になる。

今回はこの後者であるモチベーションの低い勉強会をどう企画実現までこぎ着けたかについてになります。

コミュニティを開始するにあたる背景

担当の一体感醸成

私の前職の会社は官公庁系のシステムを開発・運用しているSIerでした。当時、会社が合併したこともあり、私の所属する部署は各システム毎に出身会社が違い、全くと言って良いほど、各システム間での交流はありませんでした。極端な話、座席表でとなりの川の人たちが何をしているのかすら知らないという状況でした。そこに非常に危機感を感じました。経営レベルでは、合併によるスケールメリットは享受出来ていたかもしれませんが、現場、むしろ、担当者レベルだと、逆にスケールメリットどころか、それぞれが出身会社単位で孤立した状態で、スケールどころの話ではありませんでした。各担当システムのリーダーが集まる会議では、そんなのをあまり気にせずに、上辺だけの担当施策が掲げられ、結局、長続きはしないようなことが行われていました。

隣の担当がやっていることを知らない。話したこともない。みんなバラバラという状態。そんな状態で良いのか。

大事にしたかった価値観は、いたってシンプルで、
「助けて!」と言ったときにいったい何人の人が助けてくれるだろうかということ。お互いが助け合えるような関係性を築けているかということ。
開発現場を前進させるのに、テクニカルな話も必要だけど、人間関係も絶対必要だと思いました。

そこで彼らには何らかのコミュニケーションとるためのキッカケが必要だと思い、担当横断的な社内コミュニティを立ち上げることに(自分の中で勝手に)決めました。会社が合併した直後で複数の会社の文化が入り交じっている今こそ、それらをうまくとけ込ませて新しい文化を築かないとダメだと感じたのです。おまんが変えなきゃいかんぜよ!と当時の私のマスターセンセイである龍馬伝の龍馬に後押しされ。

まず、仲間を募るために、リーダー層の会議のその年度の担当施策を考える場面でプレゼンして仲間を募りました。しかし、誰も乗ってきませんでした。むしろ、そんなのだるいし微妙でしょ。という、意味ないじゃん時間の無駄的な空気が漂っていました。やる前からのその雰囲気に少しイラっとしたのは覚えていますが、それは自分にカリスマ性が足りていないからだということで飲み込んで消化しました。

そんなときにふとTEDでデレク・シヴァーズの社会運動の起き方の動画を見ました。

最初、ある男が裸踊りを初めるが、みんな相手にしない。しかし、最初の賛同者が現れ、一緒に踊り始めることで、徐々に周囲の見る目が代わり、賛同者が増えていき、終いには大きな社会運動になるという動画。最初のフォロワーのポジションが重要というリーダーシップの新しい形を提唱した動画。

今の自分がここで裸踊りしている人に見えました。自分では正しいことをしていると思っていても誰も賛同してくれないような状態です。しかし、最初のフォロワー(賛同者)の行動によっては、大きなムーブメントさえ引き起こせるという事実がそこにはありました。

これだ!
最初の支持者次第では、裸で踊っている自分もムーブメントを起こせるんだ!

脳内で安易なロジックが組まれているように見えますが、そのとおりです。ですが、当時はどうにかしてみんなを巻き込みたくて必死でした。だから、この動画には前進するための後押しになりました。

賛同者を募る

まず仮説として1:8:1の法則的に、約40人弱の組織の内、1割賛成してくれれば行けるというジャッジにしようと考えました。あとは残りの浮動層である8割を如何に巻き込んでこっちを向かせるかなのでそこは頑張り次第。

裸踊りの動画ほど強力なファーストフォロワーは求めませんでしたが、誰か協力してくれる人はいないかと、先輩や後輩、同期など色々な人に声をかけて回りました。
すると、後輩の紹介で、後に全社展開した当コミュニティの運営を行うことになる後輩と出会うことになりました。数分立ち話をしただけで、彼の溢れんばかりのモチベーションでおなかいっぱいになりました。こいつは強力なフォロワーだ。

また、他にも声をかけて回り、結果的に十数人が面白そう!と言ってくれました。
そこで、好感触な十数人にコミュニティ立ち上げの打ち合わせ案内を出しました。

しかし、結局来たのは4名。一応、1割は達成しているので、コミュニティを設立することにしました。
なんで面白そう!って言ってたのにこねーんだよ!とイラっとしました。

コミュニティメンバ数:4名

ここで、スモールスタートで頑張ることにしました。

コミュニティ発足

しかし、会社というものは、様々な方向からバイアスがかかるものです。コミュニティを発足するタイミングで早速バイアスがかかりました。
担当の施策に社員が何らかに関わらなければならないという部課長からのトップダウンな強制力です。私自身としては、モチベーションの高くない人もコミュニティメンバーになるため、それは望んでいませんでしたが、致し方なかったです。

その結果ではありますが、努力せずに36人の担当で12名が属するコミュニティになりました。
その中には以前面白そうといってくれた方々が多く含まれていました。なんだ、強制力が働くと来るのね。

コミュニティメンバ数:12名

ドライブしない

コミュニティも出来たことだし、コミュニケーションを常時取っていきたいと考えました。(人が集まっただけでコミュニティが出来たという発想な時点でずれていたかもしれない・・・)
しかしながら、元々話したこと無いメンバ同士で、いきなり活発な意見交換とか難しいので期待しているメンバの数人に対して仕込みを実施しました。
「A君はスマートフォン詳しいからスマフォについて色々情報を継続的にシェアしてね。」
「B君はJava詳しいからデザインパターンとかフレームワークネタとか継続的にシェアしてね。」
「C君は...」 etc
ALL「面白そうです!そういうのやりたいですね〜!」という好感触な返事。完全にイケル!と思いました。

数週間経って。

彼らは結局何もしませんでした。

イラっとしました。

このときの自分のマインドは完全に「あなたが○○してくれない」「あなたが○○面白そうっていったのに」「あなたがー」の「あなた中心のパラダイム」で見ていました。私の人生のバイブルのはずであった「7つの習慣」が全く役に立っていませんでした。

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あれ?言ったのにやってくれなかったこと、これで2度目だ。。


ここで、気付きました。

気付き

もしや、自分に問題があるのではないかと。すると一気に視野が広がりました。
自分が変わらないと、周りも変わらない。一方的に協力を仰ぐだけあおって、合意のもとの確実なコミットメントができていませんでした。
「やりたいなぁ」と「やる」の間に、とんでもない壁があって、「やりたいですねーそうですねー」のままでは半年たっても一年たっても、何も変わらずそのまま。そんなもんです。コミュニティ立ち上げ打ち合わせに4名しかこなかったのも同じことだと思いました。しかし、そのコミット状況を変えることが出来るのは自分しかいないのに、「誰々がー」と人のせいにしていました。

リーダーとして、変わらなくてはという思いでリーダーシップやコーチングの勉強をしました。本を読みあさりました。今までもこの手の本はかなり読んでいましたが、必要に迫られて当事者意識を持って読むのでは全然違いますね。今までのKnowing Doing Gapがすごいことすごいこと。

コーチングの神様が教える「できる人」の法則

コーチングの神様が教える「できる人」の法則

メーリングリストhttps://www.coacha.com/ も非常にためになりました。

横方向へのリーダーシップ

縦と横のリーダーシップの違いへの気付きを得ることが出来ました。カリスマ性とかそういうものではなく、今まで縦方向への権限を利用したリーダーシップしかつかってこなかったことに気付きました。そして、周囲を巻き込んで何かを成し遂げるときに本当に必要なのは、横方向へのリーダーシップでした。今までは権限を使った縦方向へのリーダーシップを乱用していた自分を知ることができたのもこのときです。
また、縦のリーダシップと横のリーダシップで面白い例があります。これはコーチングのメーリングリストに載っていた例ですが、
「超大手企業のそれなりのポジションでものすごいリーダーシップを発揮している人が町内会の会合で八百屋のおじさんに意見を押し通されてしまうとか良くある。」というお話。なんか納得しますね。

起こした行動

・ビジョンを熱く語り続ける
ドライブして欲しい人たちにビジョンをかたりに回りました。そして、あなたがやってくれると僕は嬉しいし助かる。と魂オファーを出しました。
・自主性に任せてメンバーに約束する
人間は口に出して約束したことは、本能的にも守ろうとする力が働くと言われています。しかし、「約束します」とか言わせるのではなく、「何やるか言ってみて?」的に促すほうが自発的に答えている感を出せるのでそうしました。余談ですが、最近は自分で自分にそれをよくやります。自分で自分にコミットする感覚なのでしょうか。
・全ベクトルへ賛同者を募る
上(上司)、横(同僚)、下(後輩)の合意形成。
・確実にフィードバックを与える
何かアクションを起こしてくれたメンバには必ず、何かしらのフィードバックを与えるように(自分の中で)徹底しました。コミュニティで利用した社内SNSのメンバの書き込みには100%のリプライ率を(自分の中で)徹底しました。
・模範になる
自分から継続的に社内SNSに社外勉強会やWeb上の情報をアウトプットし続けました。マインドとして、教えてくれたから教えて上げるではなくて、ギフトし続けるエコノミーの形成を目指しました。Give&Takeの発想は「やってやったから」のような利害が発生しそうで嫌だったのです。

その効果か何かわかりませんが、徐々に、情報発信をしてくれるメンバーが増えていきました。良い意味でのスパイラルが周り始めた感覚でした。
そして、更には、社長が噂を聞きつけたらしく、社長から直々にメッセージが届きました。

「ぜひ私もコミュニティに加えてくれ」と。

この時点で
コミュニティメンバ数:17

勉強会継続開催

この良いスパイラルが回り始めた段階で、勉強会の開催を計画しました。(やや部課長からのトップダウントリガーもありましたが。)

まずは、言い出しっぺの自分がやろう。140枚弱のスライドを作り1時間近く前編、後編で2コマしゃべりました。
しゃべった内容は
・EDDをやってみて
・自動テストをやってみて
継続的インテグレーションを導入してみて
・リスクベースドテスティングをやってみて
・Wモデル型開発をやってみて
などなどです。

また、社外を知ってもらいたく、社外の勉強会の雰囲気をすごくだしたかったので、メインの発表とLT数本という構成にしました。そしてLTは公募制に。

まずは仕込みを。全体にLT公募するまえに、数名に打診をしました。そこでコミットメントがとれたあとに、全体へLT参加者を募りました。
LT実施してくれる数名を全体の前(全員へのメーリングリスト)で感謝の気持ちを名前を入れて伝えました。それとともに、全体に通知することは全体へのコミットメントとしての目的もありました。そしてLT立候補することが良いことという空気を無理矢理作り出した。
すると、次回からLT参加者が仕込みで声をかけていたメンバ以外からも集まってきました。そして、同様に全体に対して名前を入れて感謝の気持ちを伝えました。確実にフィードバックを与えるよう勤めました。

良い勉強会サイクルが回り始めました。

その後

しかし、ですね、やっと盛り上がり始めてきたときに、会社辞めてしまいました。ごめんなさい。しかし、聞くところによると担当内コミュニティが全社コミュニティになったとかとか。

コミュニティメンバ数:??人

合併前の出身会社とか関係なく担当の横串を通すような一体感のある担当文化醸成が目的でしたが、結果としてどうなっているのでしょうか。今となってはわかりません。しかし、活動を始める前よりは絶対に良くなっているのは確信しております。

その先にあったもの

この活動を通して、勉強会の内容のテクニカルなものよりも、もっと大切な、諦めない気持ち、やり抜く姿勢、一人称で考える意識を持つことを学びました。
また、自分を自分でモチベートする方法、自分で自分にコミットメントする方法の自分流が確立できたと思います。
そして、自分で自分をモチベートして、そのまま転職してしまいました。

何かを成し遂げるために、メンバーを集めて、協力してもらって、やりとげることの成功体験。これは自分の中で自信にも繋がり、財産だと思っています。
また、手伝ってくださった人達にとっては、たいしたことしてないし、と思うかもしれませんが、運営する側からするとちょっとしたことでも力を貸してもらえたことへ感謝の気持ちでいっぱいになります。

さいごになりますが、上司や先輩、同期、後輩の多くの方々に助けて頂いたことに感謝しております。
Thunx @ @ @ !!